2019 年 3 巻 論文ID: 2018-031
治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring: TDM)は,薬学に特化した専門領域である.薬学教育モデルコアカリキュラムに規定されている様に,実務実習事前学習としてTDM教育が求められている.一方で,実習内容は各大学に委ねられており,個々の大学の実習内容を知る機会は少ない.そこで今回,立命館大学薬学部のTDM実習内容を紹介するとともに,学生のTDM実習に対する認識を調査した.本学では,病院だけでなく薬局を想定したTDM実践例として,薬物動態推定に基づき適切な服薬タイミングを推定するケーススタディを行っている.実習後のアンケートから,これらの有用性が認識されていることが明らかとなった.この理由として,薬局での薬物血中濃度推定に基づく服薬指導は学生のTDMの概念になかったためと推察される.これらより,座学での講義形式ではなく,ケーススタディの様な実臨床での実践例に基づいたTDM実習の有用性が示された.