現在,多くの薬学部5年生が将来のビジョンに「患者に寄り添う薬剤師」や「信頼される薬剤師」と掲げるものの,病棟実習開始時に「患者」ではなく「薬」に目を向ける姿勢を感じる.そこで我々は,福岡大学病院脳神経センターにおける6日間(約40時間)の薬物療法の実践実習を構築し,実習を通して実習生に生じる意識変化を検討した.実習開始時には薬に関する確認や指導ができると思う実習生が多かった.一方,実習終了時には患者の状態把握や薬の評価ができたと実感する実習生が増加した.また,将来,薬剤師として「把握力」が必要であると実感する実習生が最も多かったことより,実習生の目線を「患者」にシフトさせることができたと考えられる.改訂コアカリに基づく実務実習の目標は「薬剤師としての資質」の習得であり,短期間ではあるが難病や脳手術施行の患者に対して継続的に面談および薬物療法の評価を実施することで実習生の意識に変化をもたらすことができたと考える.