テクノロジーの進歩,制度改革,社会構造や価値観の変化を受け,薬剤師の職務内容や範囲,薬剤師の需給バランスが変わっていくと考えられる.したがって,薬学部出身者としての職業人生を豊かなものにするためには,将来に向けたキャリアデザインが必要である.しかしながら,薬学生・薬剤師はキャリアデザインの必要性を感じていないのではないだろうか.そこには,キャリア教育を充実させる意識が大学に欠けていることが根本的な原因として考えられる.その解決のためには,自己を知ること,労働市場を知ること,労働とは何か,キャリアとは何かなどを学習するためのカリキュラムを構築すること,薬剤師のキャリアに関する研究を推進すること,そしてキャリア教育の必要性を認知させるために,学会やメディアを通じて大学教員に啓発活動を行うこと,があると考えられる.