2020 年 4 巻 論文ID: 2020-026
薬学部におけるシミュレーション教育の効果についての客観的な報告は少ない.そこで本研究ではシミュレーション教育を導入した実習前後の調査から教育効果について検討した.シミュレーションで扱った疾患(症例)は,2013年に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに代表的8疾患として提示された「がん(慢性骨髄性白血病),高血圧症(本態性高血圧症),糖尿病(高・低血糖),心疾患(うっ血性心不全),脳血管障害(脳内出血〔クモ膜下出血〕),精神神経疾患(てんかん),免疫・アレルギー疾患(アナフィラキシーショック),感染症(尿路感染症)」である.シミュレーションを行った結果,ペーパー試験の正答率は40.0%から67.8%と有意に上昇した.通常,学習者は講義などの座学をとおして知識を学ぶが,今回の結果からシミュレーション教育が知識の修得に有効であることが示唆された.