2020 年 4 巻 論文ID: 2020-044
改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム(改訂コアカリ)に「災害時医療と薬剤師」の項目が新設された.災害時医療教育の教育プログラムに決まった方法はなく,教育現場や施設により異なる.三重大学医学部附属病院薬剤部における災害時医療の実習では,災害時の医療ニーズやマネジメントについての講義を行い,①災害に対する病院薬剤師としての備え,②支援に向かうまたは支援を受ける病院薬剤師として必要な対応の2課題についてブレインストーミングを実施し,KJ法を用いた学生の意見を集約している.ブレインストーミングの結果から,災害時医療の「モノ」に関する理解はできているが,「体制整備」に関する理解は乏しいことが明らかとなった.また,実習前後のアンケート結果から,ブレインストーミングのような体験型学習が効果的であることが示唆された.今後の課題としては,災害時の薬薬連携について意識できるような教育の実施が必要と考えられる.