本稿は,令和元年8月に行われた第4回日本薬学教育学会大会(大阪)のシンポジウム13で発表した「大学主体の実務実習の在り方を考える」という講演の内容をまとめたものである.内容は以下の3項目である.1)「6年制教育の目的と大学主導の実務実習の位置づけ」では,学校教育法に戻り,6年制薬学教育の目的について確認した.2)「全大学教員による実務実習,臨床教育への関与」では,平成25年度のカリキュラム改定により4年までの教育は「臨床準備教育」と位置付けられ,学年進行に応じて臨床能力,問題解決能力につながる構造的な体系を科目間で共有する授業体系を構築することが必須であることを述べた.3)「今後,大学が真剣に考えなければならないこと」では,参加・体験型実習でいかに充実した臨床教育を大学主導で構築するかについて提案を行った.