2022 年 6 巻 論文ID: 2022-024
災害に遭えば,誰もが当事者になり,緊急対応を求められる.遭遇してから学んだのでは遅い.全医療者が,災害に対する対応力を「第2の専門」として身につけねばならない.さらに,新型コロナウイルス感染症の拡大は,「災害時の医療」の位置づけや教育環境の様相を変化させた.我々は,自然災害と感染症の拡大という異なった対象への総合的な対応力や,自然災害と感染症拡大が同時に生じる「複合災害」に対する対応力を求められている.「災害時の医療」は,対象ごとに,各領域のサブスペシャリティとして習得するのではなく,「第2の専門」として統合的に習得することが求められる.このことにより,あらゆる緊急事態から生じる健康危機に対し,適切に対応することが可能となると考える.まずは教育者自身が,第2の専門として災害に対する対応力を習得することが求められる.もしくは,学習者をしかるべき教育者へとつなぐ努力が求められる.