2024 年 8 巻 論文ID: 2023-036
本研究は,薬学生を対象に「レギュラトリーサイエンスと食品中の有害物質のリスク管理」に関する講演を実施し,その前後における薬学生の意識とその変化を解析することを目的として行われた.事前および事後アンケートを分析した結果,講演後には食品の安全に対する意識,及び農薬や残留農薬に対する意識も向上したことが判明した.しかし,リスク評価に関する理解はまだ不十分であり,特に農薬等のハザードの毒性や摂取量と,それに対する有害物質のリスクの理解が不足していることが示唆された.また,リスクコミュニケーションに関しても改善の余地があると考えられた.今後,薬学生に向けて早期にリスクアナリシスの講義を行うことが重要であり,レギュラトリーサイエンスの薬学教育に対する位置付けが薬学全体の課題であることが示された.