薬学卒業研究で醸成が期待される能力のうち,情報を調べる力,論理的思考力,プレゼンテーション能力は卒業後に社会で活躍するために必要な汎用的技能である.学生の能力向上には学生ごとの能力到達度に応じた教授・学修活動の実践が必要であることから,本研究では薬学卒業研究で醸成が期待される情報を調べる力,論理的思考力,プレゼンテーション能力の評価尺度の開発を目的とし,これら3つの能力向上のための具体的な行動要素17項目からなる評価尺度を作成した.この評価尺度を用いた薬学生の能力到達度の主観評価の解析から,作成した評価尺度の信頼性と妥当性が示された.また,学年進行に伴う能力到達度の向上と,項目間の能力到達度の違いが示された.本評価尺度は薬学卒業研究で醸成が期待される情報を調べる力,論理的思考力,プレゼンテーション能力評価尺度として,薬学卒業研究における教授・学修活動改善に活用できる可能性がある.