目的:医療的ケア児(以下,医ケア児)の母親が地域の小学校入学に向けて行った準備の内容や契機を調査し,医ケア児が地域の小学校に通うための課題を明らかにすると共に,保健所保健師の支援の在り方を検討する.
方法:小学校就学に向け行った就学準備について,小学1~3年生の医ケア児の母親3名を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.
結果:母親は《教育関係者の理解を得るために試行錯誤を繰り返す》,《譲れないポイントと希望を明確にする》等,希望の実現のために行動していた.一方,医ケア児が《就学するための仕組みが不明瞭である》と感じていた.
考察:母親は就学の仕組みが不明瞭と感じながらも,譲れないポイントと希望を明確にし,自ら行動していることが明らかになった.保健所保健師は,母親の気持ちを受け止め,立ち向かう力を引き出すとともに,教育機関を巻き込んだ地域ケアシステムを構築する力量が必要である.