日本公衆衛生看護学会誌
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研究
潜在性結核感染症の治療を受ける患者の体験
舟迫 香春山 早苗
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2016 年 5 巻 3 号 p. 210-218

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抄録

目的:接触者健康診断でIGRA検査陽性が判明したときから治療終了までの間の潜在性結核感染症患者の治療を受ける体験について明らかにすることである.

方法:潜在性結核感染症の治療を完了した5人を対象に,半構成的面接法によるデータ収集を行った.

結果:潜在性結核感染症患者の体験は,潜在性結核感染症という疾患の告知を受け,選択肢を提示され,疑問や困惑がある一方で恐れの思考や感情が生じ,治療を選択することだった.また,発病予防のための治療であるにも関わらず,副作用の出現や食事・嗜好品の制限,受診のための時間拘束から,日常生活を制限される負担感や,友人や医療従事者から結核患者として扱われたことによる困惑があった.

考察:患者の体験の特徴は,疾患の理解がしにくく不確かさが生じやすいこと,治療継続への負担感や治療の必要性に対する疑問を抱きながらも,自分自身の対処や他者との関わりによって治療完了に至ることだった.

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© 2016 日本公衆衛生看護学会
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