2018 年 7 巻 1 号 p. 23-31
目的:食物アレルギー(FA)の子どもの母親が直面した問題と対処行動を明らかにし,対処行動をヘルスリテラシー(HL)の視点で分析することにより,支援への示唆を得る.
方法:母親9名に半構造化面接を行い質的記述的に分析した.
結果:直面した問題は【疾患や治療に関する情報の入手困難】【アレルギー症状出現への不安】【治療に関する負担や困難】【家族や友人,町内等の理解と対応に関する困難】【園・小学校の理解と対応に関する困難】の5カテゴリを,対処行動は【FAに関する情報の入手】【入手情報に沿った対応策の実践】【考案した対応策の実践】【家族や関係者への説明と対応の依頼】【子どもに疾患や治療等を説明】の5カテゴリを生成した.
考察:FAの子どもの母親は,診断直後は疾患や治療に関する情報の入手が困難であったが,HLを獲得し,成長に伴う問題に対処していた.HLの獲得を促進するための専門相談窓口等の設置が必要である.