2019 年 8 巻 1 号 p. 43-51
目的:通所サービスに参加しなかった運動器の機能低下がある高齢者に対し,訪問による複合プログラムの効果を検討した.
方法:対象者18人に運動器・口腔機能向上,栄養改善を併用した複合プログラムを訪問・電話により各4回実施した.介入前後・介入終了6ヵ月後に運動器機能や心理社会的側面等を評価した.
結果:運動器機能は開眼片足立ち(P<0.01),立ち上がり(P<0.01),足指筋力(P<0.05),心理社会的側面は精神健康状態(P<0.01),主観的健康感(P<0.05),基本チェックリストは運動器,口腔,認知機能,うつ項目で介入後上昇した.基本チェックリストの評価より,プログラム参加者の運動器機能低下の該当者数は介入後に38.9%,介入終了6ヵ月後に50.0%に減少した.握力,反復唾液嚥下テスト,オーラルディアドコキネシス,BMI,ADLおよび外出に対する自己効力感は有意な変化がなかった.
結論:運動器機能,精神健康状態,主観的健康感が維持・向上し,訪問による複合プログラムの効果があったと考えられる.