抄録
約150種のアミノ酸誘導体について,4-5葉期のイネ苗を供し,そのいもち病防除効果を検討した結果,7種類の有効物質を得た。その中からN-lauroyl-L-valineを選び,その化学構造と抗いもち病活性について検討し次の結果を得た。
N-lauroyl-L-valineの構成成分であるlauric acid, L-valineの単独または混合では,いもち病防除効果はきわめて低いことが判明した。
アミノ酸の異性体の間で活性を比較するとD≥L>DLの順であったが,それらの間には顕著な差は認められなかった。
N-lauroyl-L-valineのNa, K, Ca塩およびメチル,エチル各エステルの間では,Na, K塩だけが遊離酸とあまり差がなかったが,その他のものはきわめて防除効果が低かった。
valineを他のアミノ酸で置き換えた場合には,L-proline, L-methionine, L-leucine, DL-alanineなどにL-valineと同程度の効果が認められた。いっぽうlauric acid (C12)を他の脂肪酸で置き換えた場合には,脂肪酸部分の炭素数がC12より増加あるいは減少するにつれて防除効果が低下した。