日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
クワ輪紋ウイルスおよび温州萎縮ウイルス感染によって生ずるさや状構造物の構造と形成過程
日比野 啓行土崎 常男宇杉 富雄斎藤 康夫
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 43 巻 3 号 p. 255-264

詳細
抄録
クワ輪紋ウイルス(MRSV)または温州萎縮ウイルス(SDV)に感染したササゲの葉を生長時期別に電顕観察した。MRSV感染株では,生長点に近い分裂細胞の原形質連絡糸内に一列に並んだウイルス粒子が観察され,これらの粒子は原形質連絡糸の一端から並んで細胞質中に突き出していた。長さ2-3mmの幼葉では,突き出した粒子の囲りの原形質膜がかん入し,かん入した原形質膜はさや状になって粒子の列を取囲んでいた。更に生長の進んだ葉では,このさや状構造物は長く伸び,5μmに達した。またこのさや状構造物とかん入した原形質膜の間には細胞壁が突き出していた。
SDV感染葉では,原形質連絡糸内に並んだ粒子は長さ1mmの幼葉で初めて見出され,その後は,MRSV感染葉で観察されたと同様の過程を経て,さや状構造物が形成された。MRSVおよびSDVに感染したササゲの葉細胞内には小胞体が集まってできた細胞質封入体が認められた。
同様のさや状構造物および封入体はSDVに感染したゴマ,インゲン,ペチュニア,N. clevelandiiの葉細胞内でも観察された。しかし,インゲンおよびN. clevelandii感染葉では,さや状構造物がしはしば原形質膜と細胞壁の間にあり,このさやの外壁は原形質膜につながっていた。これらのさや状構造物はdip法によって感染葉から確認できた。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top