1987 年 53 巻 5 号 p. 647-649
トウモロコシ北方斑点病菌のレース判別を行った。本病菌は特定のトウモロコシ系統に輪紋型病斑を形成するレース1,フレック型病斑を形成するレース2および直線型病斑を形成するレース3に分化している。これらレースのアメリカ産菌株をトウモロコシ自殖系統に噴霧接種し,その病斑型から判別品種としてN31およびH93を選んだ。これを用いて,11道県で採集した日本産43菌株のレース判別を行ったところ,37菌株がレース3, 6菌株がレース2と判別され,レース1菌株は発見されなかった。レース3はいずれの調査地域でも優占していたが,北海道ではレース2の分離頻度がやや高かった。次に,交配試験を行ったところ,交配型Aが28菌株,aが1菌株であり,分布に偏りがみられたことから,本病が発生し始めてからまだ間がないと推察された。