抄録
情報伝達系への関与が予想される阻害剤のピサチン蓄積にたいする影響について,エンドウ上胚軸を用いて調べた結果,LaCl3, EGTA BAPTA, amitryptyline, chlorpromazine, quinacrine, TMB-8およびcaffeic acidは抑制効果を示さなかった。一方,カルシウムチャンネル阻害剤として知られるverapamilとプロテインキナーゼの強力な阻害剤であるK-252aはエリシターで誘導されるピサチンの蓄積を顕著に阻害した。verapamilはピサチン生合成系活性化後に添加した場合にも顕著な効果を示すことから,情報伝達系以外への作用が予想された。一方,K-252aはエリシター処理前に投与される場合に限り顕著な抑制効果を示した。本結果は,エリシター認識からピサチン蓄積に至る初期過程にプロテインキナーゼの関与することを強く示唆する。