2017 年 57 巻 8 号 p. 843-848
心身医学療法にはいくつかの治療法が含まれるが, 一般心理療法はそれらの治療を行ううえでの基盤となる治療法である. そして, 心身医学の臨床に携わる医師であれば, その研修過程で身につけることが必要で, 治療者として患者に向き合う際の治療的自我のあり方にも影響を与える. 一般心理療法は受容, 支持, 保証そして傾聴の姿勢で成り立つ治療法であり, 患者は自分の思考や感情を治療者にそのまま受け止められているように感じる.
森田療法は森田正馬が1920年代に確立した精神療法である. 伝統的な森田療法では, その人間理解や治療理論に基づいた態度が優先され, 患者に対する受容的態度は強調されなかった. しかし, 現代の森田療法では, 治療者はむしろ一般心理療法を治療の基盤として患者の症状を受け止め, その症状やそれに伴う感情を感じたままにして, 自分らしい生き方へと主体的に毎日の生活を送ることができるように支援する.