心身医学
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企画シンポジウム特集/女性心身医学診療の実際と将来
女性心身医療の実践
郷久 鉞二佐野 敬夫高橋 円伊藤 絵里香松本 真穂清水 順子藤森 久美子
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2018 年 58 巻 8 号 p. 678-687

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抄録

心身症関連疾患に対する心身医学的対応としては一人の患者を, 婦人科身体的診断, 精神科的診断, 心身医療的診断, 東洋医学的診断の4方向から診るとより的確な診断ができる. 1976~2016年の間に筆者が扱った心身症関連疾患は11,647症例で, 1993年までの大学病院ではわずかに新患の2~3%であったが, 1995年に開業してからは20~40%を推移している. 婦人科的身体診断では更年期障害が3,190例 (27.4%), 自律神経失調症が2,086例 (17.9%), 骨盤うっ血症候群が1,866例 (16.0%), 月経前症候群が1,077例 (9.2%), 機能性子宮出血が860例 (7.4%), 萎縮性腟炎が438例 (3.8%), 月経痛が420例 (3.6%), 産後うつ病が244例 (2.1%), 性障害が212例 (1.8%), 続発性無月経が207例 (1.8%), その他1,047例 (9.0%) であった.

心身医学的立場から診断すると, 身体病型5,928例 (50.9%), うつ病型2,595例 (22.3%), 神経症型1,906例 (16.4%), 心身症型1,218例 (10.5%) であった. また, 1995~2016年までの対象者をDSM-Ⅳによる分類で診ると, 身体表現性障害が7,216例 (68.0%), 気分障害が2,105例 (19.8%), パニック障害が371例 (3.5%), 不安障害が339例 (3.2%), 摂食障害が101例 (1.0%), 適応障害が82例 (0.8%), 睡眠障害が56例 (0.5%), 月経前不快気分障害が26例 (0.2%), 双極性障害が20例 (0.2%), 発達障害が14例 (0.1%), その他が277例 (2.6%) であった. 東洋医学的診断としては, 漢方薬の投薬が8,534例 (73.3%) に用いられていた. 身体的治療のホルモン療法は2,514例 (21.6%) であった. 漢方薬と面接主体は身体病型に多く, 抗不安薬と抗うつ薬はうつ病型に多かった. 治療予後は, 78.0%が良好であり身体病型, 心身症型, うつ病型は神経症型に比べよかった. 心身症関連疾患には治療的自己やスピリチュアリティが重要であることを証明している症例を呈示した.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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