日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
総説
学校検尿の腎不全防止効果
宇田川 淳子倉山 英昭松村 千恵子秋草 文四郎
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 13 巻 2 号 p. 113-117

詳細
抄録

 学校検尿の腎不全予防の意義を確認する目的で,千葉市学校検尿で発見された腎疾患の治療予後を1975~1985年・A群と1985~1994年・B群にわけ検討した。A群に比べ,B群では慢性腎炎 (特にIgA腎症) に対し積極的に治療を行った。
 慢性腎炎の発症率は優位差を認めなかったが,同じ経過観察期間でA群に10例 (慢性腎炎8例,腎低形成1例,原疾患不明1例) B群に2例 (腎低形成2例) の腎不全例を認めた。積極的に治療を行ったB群には慢性腎炎での腎不全例を認めなかったことは,小児期に潜在する慢性腎疾患の早期発見・治療が腎不全防止に役立っていることを示すものである。学校検尿は健康教育の一貫であると同時に,腎不全防止効果として有用であることが示唆された。

著者関連情報
© 2000 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top