抄録
症例は13歳,女児。夜尿症での経過観察中に尿糖が持続したため,当科を紹介され受診した。尿糖は陽性であったが,血糖,HbA1Cは正常であった。血清Crが軽度上昇し,尿中β2MG,α1MGが高値であったことから間質性腎炎が疑われた。眼症状はなかったが,眼科的検索を行ったところ,両側ぶどう膜炎を認めた。腎生検で尿細管間質性腎炎の像を認めたことからTINU症候群と診断した。経過観察のみで尿蛋白,尿糖は陰性化し,腎機能も改善した。TINU症候群は他の間質性腎炎と異なり自然軽快するものも多い。腎性糖尿をみた際に本症候群も念頭において検索を進めることは治療法選択の上でも重要と思われた。