日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
小児血液・腫瘍疾患経験者における腎合併症の縦断的研究~集学的治療の影響~
北城 恵史郎大園 秀一大石 早織満尾 美穂中川 慎一郎田中 征治山下 裕史朗
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2019 年 32 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

小児血液・腫瘍疾患経験者における腎機能の経時的変化とリスク要因を明らかにするため,後方視的研究を行った.対象は38 名[造血幹細胞移植(移植)群14 名,非移植群24 名].治療前(T1),治療後(T2),終了後1 年(T3),3 年(T4),5 年(T5)の年齢別sCr 基準値(50% ile)*100/実測sCr(CrM1)を算出.①各時点のCr M1 両群平均値比較,②疾患別の経時的な両群の比較,③全症例の抗がん剤累積投与量,④腹部照射群と非照射群の各時点の平均値を比較.結果,両群の平均CrM1 値は経時的に低下(移植群T1112⇒T5 98,非移植群T1 133⇒T5 111).疾患別では神経芽腫の移植群でT2~T5 にかけ有意に低下.急性骨髄性白血病では両群低下せず.全症例の抗がん剤累積投与量では,特にT3 でシクロホスファミド(γ=−0.47,p<0.01),シスプラチン(γ=−0.56,p<0.01)と有意に負の相関あり.腹部照射群はT2~T5 で有意に低値.移植群では腎障害性の薬剤を含めた集学的治療がリスク要因で,治療直後に最も障害されることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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