2021 年 34 巻 1 号 p. 13-19
小児の高血圧は無症状で,健診などにより偶然発見される場合が多い.しかし,倦怠感,嘔気といった小児の日常診療でよく遭遇する症状が高血圧による可能性もあるため,積極的に血圧測定を行うことが奨められる.体格に合わせたマンシェットを用いて測定し,高血圧が認められた場合には安静時に 3 回測定する.性別,年齢,身長によって血圧の基準が異なることに注意が必要である.低年齢の特に 2 歳以下でかつ重症高血圧の場合には,二次性高血圧の可能性を考える.二次性高血圧は腎実質性高血圧が多くを占めるため,まず腎疾患を鑑別する.本態性高血圧においては,成人本態性高血圧への移行を防ぐために積極的に非薬物療法を開始する.二次性高血圧においては,原因となる疾患の診断,治療を行う.本態性,二次性いずれの高血圧においても血圧を基準値以下に下げ,高血圧に伴う症状を改善し,標的臓器障害を予防することが必要である.