生理心理学と精神生理学
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受動的な聴覚オドボール・パラダイムにおけるP3の出現要因 : 質的に異なる2種類の音を用いた検討
宮島 ひろみ惠羅 修吉
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1999 年 17 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
本研究では, 受動的な聴覚オドボール・パラダイムにおける事象関連電位P3成分の出現に影響を及ぼす要因について検討するため, 2つの実験を実施した.両実験ともに2つの受動的条件 (無視条件と妨害条件) と能動的条件を設定し, それぞれの条件で出現したP3波形の比較を行った.実験1では3000Hz (低頻度刺激) と500Hz (高頻度刺激) のトーン・バーストを, 実験2では高頻度刺激をそのままにして低頻度刺激をクリック音とした.結果として, 実験2の無視条件において明瞭なP3波形の出現が認められた.このP3は, 能動的条件でのP3と類似した頭皮上分布と潜時を示した.実験1・2におけるその他の受動的条件では, P3振幅は顕著に減衰した.本研究の結果より, 低頻度刺激音と高頻度刺激音における何らかの質的差異が受動的なオドボール課題におけるP3の生成に寄与することが示唆された.最後に, 能動的な弁別課題の遂行に困難を有する被験者を対象とした場合における受動的P3の臨床適用について考察した.
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© 日本生理心理学会
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