心理学研究
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感應理論の研究 (第六報告)
ミュレル・リエル錯視の研究
小保内 虎夫
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1935 年 10 巻 2 号 p. 205-223

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抄録

一、ミュレル・リエル錯視を説明せんがための鋭角過大視原理は誤である。
二、在來の意味に於ける合流 (同化) の概念は曖昧であり、又、誤謬を含んでゐる。
三、ミュレル・リエル錯視と同化・對比錯視 (分割錯視) とは幾何學的に見ると同一種類の錯視である。
四、矩形の對比錯視圖形に關しては高さ或は幅の大さと錯視量との間に規則的關係が存する。
五、同化・對比錯視 (分割錯視) の圖形の大さと錯視量との間に逆比例の關係が存する。またミュレル・リエル錯視に關しても同様な關係が見られる。よつてこの兩者は同一原因によつて起るものと推定出來る。
六、ミュレル・リエル圖形に關する諸種の實驗結果は感應の一般法則によつて説明され得る。
七、分割圖形、ミュレル・リエル圖形の孰れにあつても、注視點が異るにつれて、又、判斷の時期の選び方によつて錯視の分量に變化が起る。
八、適當な大さで描かれてゐる場合、ミュレル・リエル錯視の外向斜線圖形にあつては顯著な運動印象が起る。

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