要求水準決定におけるコンフリクトと自己保護
ジャーナル
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1961 年
32 巻
1 号
p. 38-43
詳細
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発行日: 1961 年
受付日: 1960/03/15
J-STAGE公開日: 2010/07/16
受理日: -
早期公開日: -
改訂日: -
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訂正情報
訂正日: 2010/07/16
訂正理由: -
訂正箇所: 論文抄録
訂正内容: 訂正前 : (1) 要求水準決定の際の機制は, Millerのconflictのモデルのなかの, approach-avoidance conflictの1ケースと考えられる.
(2) 困難度が大から小にわたる課題系列において, 要求水準が, 接近傾向と回避傾向の強さの均衡点である課題に決定されるものとすれば, 決定された課題の解決を試みた結果, 失敗すれば, 個人はその失敗に無関心ではいられなくなるのではないか. なぜなら, 決定された課題においては接近傾向と等しい強さで回避傾向が働いていたのであり, 回避傾向には失敗に対する負の誘意性が含まれており, 失敗することは, 負の誘意性の原因そのものに遭遇することだからである. そして, 失敗が個人にとって重要ないみをもつ場合には, “無関心でいられない状態”は“傷手”にまで至るのではないか. さらに, 個人がかかる傷手を蒙ると, そこに, 傷手から自己を保護しようとする機制が働くのではなかろうか, と考えられる.
(3) 上のことを吟味するために, 実験場面を知能テストの標準化に協力を依頼するかたちに装い, 課題に成功または失敗せしめられることから, 課題の面白さについての評価, および, 課題の知能テストとしての適切さに関する評価が, どのように影響されるかを調べた.
(4) 課題に成功または失敗せしめられたことは, 課題の面白さに関して影響を及ぼし, 成功した方の課題をより面白いとする実験者が圧倒的に多かった. しかし, 課題における成功・失敗は, 課題の知能テストとしての適切さに関する評価にまでは影響を及ぼさなかった.
(5) 行動の質的な観察によれば, 被験者は, 課題選択に直面して迷い, 課題解決に失敗せしめられると困惑の様子を示した.
(6) しかし, この困惑のために, 課題の知能テストとしての適切さに関する評価を変更することはなかった.
(7) 本実験において, 失敗による困惑から自己を保護しようとする要因より, 知能テストめ標準化に協力しようとする要因の方が, より強く作用していた, と考察された.
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