概念条件づけにおける学習段階の意識性が反応上昇に及ぼす効果 反応過程の分析による検討

吉田 甫

doi:10.4992/jjpsy.46.100

概念条件づけにおける学習段階の意識性が反応上昇に及ぼす効果

反応過程の分析による検討

吉田甫

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ジャーナルフリー

1975 年 46 巻 2 号 p. 100-108

DOI https://doi.org/10.4992/jjpsy.46.100

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発行日: 1975/07/30 受付日: 1974/12/28 J-STAGE公開日: 2010/07/16 受理日: - 早期公開日: - 改訂日: -
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訂正日: 2010/07/16 訂正理由: - 訂正箇所: 論文抄録訂正内容: 訂正前 : 本実験の目的は, 概念条件づけの反応過程を詳細に分析することにより, 学習段階についての意識性と反応上昇との関係を調べることである.
被験者は小学6年生39名であった. 実験材料として, 野球, 果物, 魚, 文房具のそれぞれの下位項目として予備調査により5個の単語を選んだ. 手続は20回のオペラント試行後次の60試行では最もオペラント・レベルの高い概念を選んだ時にのみ“いいです”という言語強化が与えられた, 実験終了後, 意識性がなかった者 (意識性なし群), 反応と強化の随伴性にのみ気づいた者 (連合群), 概念を獲得した者 (概念群) の3群に被験者を分類するため7項目の質問が与えられた.
主な結果は, 次のとおりであった.
1. 概念群にのみ学習の成立がみられ, 連合群や意識性なし群では反応の有意な増加がなかった (Fig. 1).
2. 概念群においては, 概念が獲得される以前の試行ブロックにおいて反応の増加はなかったが, 概念が獲得された後に反応の増加がみられた (Fig. 2). 連合群においては, 随伴性が獲得される以前の試行と以後の試行において, 反応の増加は認められなかった (Fig. 3).
3. 概念群においては, 2つの指標で概念を獲得したブロック (0) は概念が獲得される以前の最後のブロック (-1) よりも有意に反応が高かった (Table 1). 連合群においては, 2つの指標でこの両ブロック間に有意差がなかった (Table 2).
4. 概念群においては, 意識前ブロックで全く強化をうけなかった反応項目はその後の試行ブロックで有意に多く選択されるようになった. また意識前ブロックで1回, 2回, または3回強化をうけた反応はその後のブロックでの反応と差がなかった (Fig. 4). 連合群においては, 意識前ブロックで1回も強化をうけなかった反応項目はその後のブロックで多く選択されるようになったが, 概念群の0回強化項目と比べてその程度は小さかった. 意識前ブロックで1回または2回強化をうけた反応は, その後のブロックでの反応と差がなかった (Fig. 5).
これらの結果から, 概念条件づけの全体的学習段階に気がついている概念群では認知的制御が可能になり学習が成立する, 一方部分的な段階しか気づいていない連合群では認知的制御の機能が働かず学習が成立しないということが示唆された.

抄録

The relationship between awareness of learning steps and performance gains was examined by analyzing response processes of concept conditioning. Through interview, the Ss were classified into those who were unaware of the contingency (no awareness group), those who were aware of the contingency only (association group), and those who had acquired the concept (concept group). The main results were: (a) successful conditioning occurred only in the concept group; (b) the concept group showed performance increment only during the post-awareness phase; the association group did not show performance increment during the pre- or post-awareness phase; and (c) responses not reinforced on the pre-awareness trials occurred significantly more often on subsequent trials. Responses which received 1, 2 or 3 reinforcements during the pre-awareness phase did not increase on subsequent trials. These results were discussed in terms of cognitive control of concept conditioning.

責任著者(Corresponding author)

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