2021 年 24 巻 1 号 p. 38-45
脊髄相反性抑制(以下,RI)は円滑な関節運動や歩行を行うための重要な機能であり,3 つの抑制経路(Ia 相反抑制,D1 抑制,D2 抑制)が関与している。これらの抑制経路を介して,RI は拮抗筋の過剰な筋収縮を抑制し,協調運動を可能にする。上位運動ニューロン障害患者と高齢者(加齢)では,RI の機能低下を引き起こし過剰な同時活性を引き起こす。そこで,近年,過剰な同時活性を抑制し協調運動や歩行の機能を向上させるために,RI を増強させる研究が多く報告され注目されている。その中で,脳刺激と末梢刺激はRI を増強させる効果的な介入法である。本研究では,補足運動野刺激と反復的他動運動に着目した。各介入法において,RI 増強は以前の研究よりも短い介入時間で観察することができ,介入後効果も持続した。これらの介入法は簡便で安価であり,過剰な同時活性を減少させることから,波及効果が高く,リハビリテーションに適用できると信じている。