2022 年 25 巻 1 号 p. 61-68
細胞老化はがん抑制や個体発生,さらには組織再生など生体に重要な機能を果たす一方で,加齢や慢性炎症などを進展する二面性が報告されている。近年,骨格筋への運動ストレスが細胞老化を誘導して骨格筋の修復や再生を促進するだけでなく,慢性炎症や線維化など骨格筋病態へも関与することが明らかになってきた。細胞老化制御機構の解明は新たな骨格筋治療の突破口になる可能性を秘めている。本稿では,運動による骨格筋の細胞老化と組織修復プロセスを中心に,骨格筋における細胞老化の影響について概説する。