基礎理学療法学
Online ISSN : 2436-6382
総説
中高齢者における習慣的な運動と栄養摂取が遂行機能に及ぼす影響
新藤 愛
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 25 巻 1 号 p. 69-79

詳細
抄録

 我が国における急速な高齢化に伴い,認知症および認知機能低下を呈する高齢者の人口は増加傾向にある。認知症の予防は,高齢者自身の生活の質の維持など,社会的かつ臨床的に意義が高い。中高齢者の認知機能の維持・向上を図るためには,運動や食事など生活習慣の改善による非薬物療法の介入効果が期待されている。そこで著者は,遂行機能の改善および脳活動における脳酸素化動態と加齢に伴い低下する中心動脈スティフネスに着目し,ラクトトリペプチド(lactotripeptides:LTP)摂取は中心動脈スティフネス,脳酸素化動態を改善し,有酸素性運動を併用することで遂行機能も含めさらに改善することを明らかにした。また,介入による遂行機能や脳酸素化動態の改善に,中心動脈スティフネスの低下が関連することも明らかにした。我々の知見は,中高齢者における習慣的な有酸素性運動とLTP 摂取が認知機能の維持・向上に効果的である可能性が示唆され,認知症の発症・進行予防の一助となることが考えられる。

著者関連情報
© 2022 日本基礎理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top