日本鼻科学会会誌
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原著
眼窩骨膜内に膿瘍形成を認めた例
牧原 靖一郎石原 久司宮武 智実唐木 將行津村 宗近假谷 伸岡野 光博西﨑 和則
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2014 年 53 巻 4 号 p. 506-512

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抄録
骨膜は2層構造を認めるといわれている。今回,眼窩骨膜内に膿瘍形成をきたし,内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を行うことで改善を認めた一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。症例は35歳,男性。2012年X月昼より,鼻から額の左側に痛みがあり,近医耳鼻科受診。レボフロキサシン処方された。翌日,同部位の疼痛が激しくなり,当科紹介受診。副鼻腔CTでは左上顎洞,左篩骨洞,左前頭洞に陰影を認めるも,眼窩内に異常所見認めなかった。入院にてセフトリアキソン開始。2日後,左眼痛の悪化と左眼瞼腫脹を認め,造影CTにて眼窩骨膜下膿瘍が考えられる所見があり,同日,ESSを施行した。術中出血が多く,左上顎洞,左篩骨洞,左前頭洞から膿汁排出がみられ,術前の眼窩内陰影が軽度であったことから,紙様板への操作は行わなかった。術後,一旦左眼痛の改善認めるも,6日後,左眼瞼腫脹の明らかな増悪あり,同日再手術を施行した。左眼窩骨膜下膿瘍を考え,眼窩骨膜下を剥離するも膿汁排出を認めなかったが,骨膜を2層に剥離すると膿汁排出が認められた。術後経過良好にて14日後に退院となった。抗生剤による保存的治療に対して抵抗性である眼窩内感染症に対しては速やかに手術加療が必要であると感じた。本症例ではESSが非常に有効で,Chandlerの分類でgroup III以上の眼窩内感染症を認める場合は眼窩紙様板の除去と膿瘍開放術も必要と考えられた。画像上,眼窩骨膜下膿瘍と考えられる場合,眼窩紙様板を除去しても排膿されない時は,眼窩骨膜内に膿瘍形成を生じていることもあり注意が必要と思われた。
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© 2014 日本鼻科学会
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