日本農村医学会雑誌
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原著
病院外来におけるC型肝炎診療の実態について
田沢 潤一真田 勝弘酒井 義法山根 道雄草野 史彦永山 和宜藤原 秀臣平沼 進
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キーワード: C型肝炎, HCV遺伝子型, 地域性
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2004 年 53 巻 2 号 p. 110-117

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抄録

肝疾患診療現場におけるC型肝炎患者の実態や, その後の受診状況などに関しては不明な点が多い。1997年1月から同年2月までの2か月間に当院内科外来で診療した肝疾患患者, 連続844症例を対象に検討した。583例がC型肝炎ウイルス (HCV) に感染しており, この内3例はHBs抗原陽性, 他の1例はA型急性肝炎合併例であり, 結果としてC型肝炎単独感染例は579例 (68.6%) であった。C型肝炎単独例の病型は, 急性肝炎1例, 無症候性キャリア60例, 慢性肝炎332例, 肝硬変130例, 原発性肝癌41例, 不明15例であった。肝生検施行例について線維化進展度をみると, 約半数がF1であった。HCV遺伝子型2型に対するインターフェロン単独療法の成績は全国的な成績より劣っていたが, 高ウイルス例が多いことがその原因であることが示された。地域によりHCV遺伝子型の分布に偏りがある傾向がみられたことから, 地域性を明らかにする意義が示された。5年後も通院中の症例は, 無症候性キャリアを除いたC型慢性肝炎では68.1%, HCV無症候性キャリアでは50%と低率であり, これらの脱落症例が他の診療機関などで十分な経過観察が行われているかを明らかにすることも重要と考えられた。

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© 2004 一般社団法人 日本農村医学会
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