抄録
本研究の目的は,限界集落化の危機に直面しながらも地域包括ケアシステム構築に積極的に取り組んでいる農村地区の現状を,特に認知症に焦点を当てて,明らかにすることである。
2017年5月から9月に,岐阜県A市の農村部1地区の医療,介護・福祉関係者6名を対象にインタビューを実施した。テーマは,認知症の地域包括ケアシステムの現状と課題であった。テーマ分析により質的データを構造化した。その結果,対象の地区の認知症地域包括ケアシステムは,介護施設によるボランティア活動,地域の専門職,民生委員,住民らの「お節介ネットワーク」によって支えられていることが示唆された。また,「元気な高齢者を意識的かつ積極的にボランティアとして地域活動に巻き込むことこそがその人達の介護予防につながる」という認識が重要なコンセプトであった。今後の課題について,本人の人生の最終段階の希望について話し合う,アドバンス・ケア・プランニングについて学ぶ機会の提供が必要と考えた。