地域包括ケア病棟は,2014年の診療報酬改定において「地域包括ケア病棟入院料及び地域包括ケア入院医療管理料:地域包括ケア病棟」として創設され,2014年5月の114病院の届出から,2018年6月には2,191病院へと,急激に増加している。しかし,地域包括ケア病棟に関する先行研究では,病棟の体制整備や運用状況の特集や報告が多く,地域包括ケア病棟の医療の有用性の内容は明らかにされていない現状がある。
本研究は,国内文献から地域包括ケア病棟の医療の有用性の記述部分をコードとして抽出し,Avedis Donabedianの医療の質の枠組みを参考に,質的帰納的にサブカテゴリ,カテゴリを生成した。また,分類したカテゴリを地域包括ケア病棟の医療の『構造』『過程』『成果』に分類し,看護の役割を検討した。
結果,25文献に地域包括ケア病棟の医療の有用性の記述があり,50コードが抽出され,20サブカテゴリ,9カテゴリが生成された。地域包括ケア病棟の医療の有用性を高めるために地域包括ケア病棟の看護は,『構造』の基盤を整備し,『過程』において入院患者や家族の療養生活支援を行ない,多職種連携を強化し,専門職としての力量を促進する役割があると考える。また,看護が『構造』『過程』の役割を担うことで,合理的な地域包括ケア病棟の運営,地域療養支援システムの進展がされ,『成果』に繋がる可能性が示された。