日本農村医学会雑誌
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症例報告
皮膚筋炎の入院治療中に発症し急速な肺病変の増大を認めた若年者結核の1例
藤田 浩平中尾 心人渡辺 綾野杉原 守荒川 総介酒井 祐輔鈴木 悠斗佐藤 英文佐々木 謙成村松 秀樹
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キーワード: 肺結核, 皮膚筋炎, T-SPOT
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2020 年 69 巻 2 号 p. 165-170

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抄録

 38歳男性。発熱,皮疹にて当院紹介受診され,皮膚筋炎の診断で入院した。ステロイドや免疫抑制剤による治療を行なっていたが,第48病日から右肺S9に約2cm大の結節影が出現し,細菌感染や真菌感染を疑い抗菌薬治療や抗真菌治療を開始した。治療開始後も改善乏しく,1週間後に陰影は約6cm大の腫瘤影にまで増大し,第57病日に同病変に対して気管支鏡検査を行ない肺結核と診断した。本症例では免疫抑制治療開始前のインターフェロン-γ遊離試験(IGRA)は陰性であり,潜在性結核感染症(LTBI)としての治療は行なっていなかった。イソニアジド,リファンピシン,エタンブトール,ピラジナミドによる結核治療を9か月間行ない軽快した。免疫抑制治療開始前のIGRAが陰性であった若年日本人男性が,入院中に肺結核を発症し,肺結核病巣の急速な増大を認めた稀な症例であり報告する。

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© 2020 一般社団法人 日本農村医学会
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