日本農村医学会雑誌
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クローン病患者への支援について
当事者の実態, ニードと心理社会的支援に関するMSWの考察
服部 雅之
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1999 年 48 巻 2 号 p. 102-110

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抄録

著者は近年本邦においても増加傾向にある難病, クローン病患者の療養生活やQOLに関心を寄せている。当該疾患でMSWを訪れた69例を対象に背景, 実態, ニードやその実現について調査し, 心理社会的な側面について考察した。
MSW相談の患者属性では男性が79.7%を占め, 平均年齢は27.5歳であった。環境面では45%が家族と同居しており, 25歳以上35歳未満の未婚率は53.3%に及んだ。就業に関しては15.9%の失業を含め33.3%が不安定な雇用状況下にあった。
患者, 家族のニードでは身障手帳や障害年金の実現 (取得や受給), 心理的困難が上位にあった。身障手帳や障害年金のニードの出現は他の疾患群の3~4倍に及んだ。ニードの実現は各々56.5%, 49.3%で, 身障手帳の実現は他の疾患群と比較し約15%下回った。心理的困難は24.6%に認められ, 関わりが継続的になっている事例が5.8%あった。
患者には難治な症状や栄養療法, 食事制限等の困難があり, 加えて経済や収入, 就業や就労, 世帯自立や婚姻などの問題や不利がある。その事が彼らに障害者福祉に関わる社会的支援のニードを出現させている。
今のところ, 様々な困難は家族の庇護により凌がれているが, 疾患の増加と父母の「高齢化」はやがてそのことの限界をもたらすであろう。社会資源の拡充や社会的な支援の体制作りが急務である。

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