日本農村医学会雑誌
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48 巻 , 2 号
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  • 堀内 信之, 関 詩穂
    1999 年 48 巻 2 号 p. 83-95
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    人類をとりまく多数の化学物質は, 農薬による健康障害, 環境ホルモン, 化学物質過敏症, 焼却炉からのダイオキシンの発生など, 深刻な問題を提起している。まさに, 人類の生存そのものが危機に直面しているのである。
    そのなかにあって, 農薬皮膚炎は直接生命にかかわるものではなく看過されがちであるが, 多数の農民に発症して日常生活の障害になっており, 無視できない課題である。そこで, 1975年から1997年までの23年間に, 佐久総合病院皮膚科を受診した農薬皮膚炎患者380名について, 臨床疫学的検討を行った。とくに, 最近10年間の症例について, 特徴を解明することに重点をおいた。
    その結果, (1)治療を要するような重症の農薬皮膚炎は減少してきた, (2)ダゾメット・グリホサート・臭化メチルなどの刺激性の強い農薬による化学熱傷型が増加してきた, (3)慢性皮膚炎型・日光皮膚炎型が減少してきた, などの特徴が明らかになった。
  • 倉持 元, 島 健二, 小林 勲
    1999 年 48 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    血液透析患者のブラッドアクセスにおいて, 再循環指数は透析血流量とは正の, またアクセス血流量とは負の相関関係があることが知られている。今回我々は, 透析血流量の増加に伴う再循環指数の増加量は, アクセス血流量とどのような関係にあるのかを検討した。ブラッドアクセスは, すべての患者で橈側部に端側吻合にて造られていた。アクセス血流量は, 超音波ドップラー法にて測定し, 平均668ml/min (493~1,038ml/min) であった。再循環指数は, three-needle法を用い通常の透析血流量 (170ml/min) の時とその半分の透析血流量 (85mymin) にした時とで求めた。透析血流量の増加に応じて再循環指数は平均4.5%(5.4±1.1vs.9.9±1.9%, p<0.05) 増加した。また, 通常透析血流量時の再循環指数は, アクセス血流量と負の相関関係を示した (y=-30.78x+972.20, r=-0.79, P<0.05)。さらに透析血流量を増加させた時の再循環指数の増加量は, アクセス血流量と負の相関関係を示した (y=-33.88x+821.57, r=-0.75, P<0.05)。この事より, 高アクセス血流量の場合では, 再循環指数は透析血流量の変化を受けにくくなると考えられた。
  • 服部 雅之
    1999 年 48 巻 2 号 p. 102-110
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    著者は近年本邦においても増加傾向にある難病, クローン病患者の療養生活やQOLに関心を寄せている。当該疾患でMSWを訪れた69例を対象に背景, 実態, ニードやその実現について調査し, 心理社会的な側面について考察した。
    MSW相談の患者属性では男性が79.7%を占め, 平均年齢は27.5歳であった。環境面では45%が家族と同居しており, 25歳以上35歳未満の未婚率は53.3%に及んだ。就業に関しては15.9%の失業を含め33.3%が不安定な雇用状況下にあった。
    患者, 家族のニードでは身障手帳や障害年金の実現 (取得や受給), 心理的困難が上位にあった。身障手帳や障害年金のニードの出現は他の疾患群の3~4倍に及んだ。ニードの実現は各々56.5%, 49.3%で, 身障手帳の実現は他の疾患群と比較し約15%下回った。心理的困難は24.6%に認められ, 関わりが継続的になっている事例が5.8%あった。
    患者には難治な症状や栄養療法, 食事制限等の困難があり, 加えて経済や収入, 就業や就労, 世帯自立や婚姻などの問題や不利がある。その事が彼らに障害者福祉に関わる社会的支援のニードを出現させている。
    今のところ, 様々な困難は家族の庇護により凌がれているが, 疾患の増加と父母の「高齢化」はやがてそのことの限界をもたらすであろう。社会資源の拡充や社会的な支援の体制作りが急務である。
  • 湊 志仁, 余 心漢, 服部 光治, 椎貝 達夫
    1999 年 48 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    抗アレルギー薬トラニラストは, わが国で開発され, 頻用されている薬である。我々は最近10年間に本剤による胆汁鬱滞型肝障害を7例 (男性5例, 女性2例) 経験したのでまとめて報告した。全例トラニラスト服用平均30日で血尿と排尿時痛で発症し, その後黄疸を呈した。肝機能障害の程度は, 軽度のものから黄疸の蔓延するものまでさまざまであったが, 全例休薬により平均27日で軽快した。
  • 伊師 巌, 木村 一, 大畠 民部, 鈴木 節子, 椎貝 達夫, 服部 光治, 谷畑 英一, 和久 井守
    1999 年 48 巻 2 号 p. 116-123
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    終末期の医療で過剰な延命治療が行われ, それが医療費増の一因であるとの説がある。平成9年7月から同年12月までの期間に内科に入院した肺癌, 肝癌の患者, 外科に入院した胃癌, 大腸癌の患者計300例を, 積極的療法を受けたA群186例と対症療法を受けたB群114例に分け, 4種の悪性腫瘍について無作為にA・B群を10例ずつ, 計80例を選び, 医療費の推移を比較検討した。
    A群の医療費に比べB群は50%~70%有意に低かった。5日間ごとの医療費の推移をみると, 退院前6日までは4疾患のいずれでもA群はB群の医療費に比し有意に高いが, その後A群の医療費は激減し, B群では医療費に変化が少ないので退院前の5日間では, 肺癌, 肝癌, 胃癌でA・B群間の有意差は消失した。また, 肺癌, 肝癌については同時期の内科の入院平均医療費と, 胃癌, 大腸癌については同時期の外科の入院平均医療費と比較したところ, A群では肺癌, 肝癌, 胃癌で平均医療費よりそれぞれ5%~17%とわずかに高かったが, 大腸癌では有意差がなかった。B群ではいずれの疾患でも平均医療費の方が40%以上高かった。当病院の成績からは, 終末期の医療で過剰な延命治療が行われているとの証拠は見出せず, 延命医療による医療費増加説を否定する結果となった。終末期の過剰診療・医療費押上げ論が正しいか否かは, 医療側も支払い側も, 根拠となるデータを示して論じる必要がある。
  • 浅沼 信治, 臼田 誠, 安藤 満, 松島 松翠, 渡辺 俊一, 近藤 武, 田村 憲治, 櫻井 四郎, 陳 雪青
    1999 年 48 巻 2 号 p. 124-131
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    石炭燃焼に由来するフッ素症を調査するため, 日中共同研究を行った。研究は1994年から5年計画で, 日本農村医学会のメンバーと中国衛生部予防医学科学院との問で, 屋内フッ素汚染の調査と健康影響に関する共同研究として実施した。大規模な中国現地調査期間は1995年から1997年の3年間である。
    調査地域は, 汚染のない対照地域1か所と汚染地域2か所の3地域である。いずれも飲料水にはフッ素汚染のない地域である。調査は, フッ素暴露集団における健康状態を把握し, フッ素症発生と健康状態を検討することを目的に, 屋内外大気汚染濃度の測定と, 小学生高学年50人, 中学生50人, その親100人, 患者50人をそれぞれの地域で選び, 尿中フッ素濃度の測定, 尿中成分分析, 歯牙フッ素症と骨フッ素症の確定診断を実施した。
    その結果, 水のフッ素汚染がない地域で, 石炭燃焼に由来するフッ素症発症の確認がされた。しかも, その発症は, 石炭燃焼によって汚染された屋内大気中フッ素を直接吸入することによるものではなく, 屋内大気で汚染された穀物の摂取によるものであった。フッ素は石炭だけでなく, 火力調整用に混ぜられる土壌にも多く含まれ, 汚染に大きく寄与していた。汚染の代表的な作物は唐辛子, トウモロコシ, ジャガイモであった。また, 汚染地区住民の尿中にフッ素が大量に検出された。
  • 近藤 昭子, 石塚 和子, 倉持 元
    1999 年 48 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 慢性糸球体腎疾患の一種であるIgA腎症の病因として, IgA腎症の発症前に上気道炎様症状を呈することが多いことから, 口腔内細菌なかでもH. parainfluenzaeの関わりが注目されている。またH. parainfluenzaeは唾液中のムチンとの結合も報告されている。腎疾患の進行に伴い, 水分, 電解質および酸塩基平衡の調節障害が著明になり, それに伴い唾液中の成分およびpHにも変化が生じ, 唾液常在細菌叢に変化が起こることが想定される。今回, 慢性糸球体腎炎, 慢性糸球体腎炎由来の保存期慢性腎不全および血液透析患者において, 唾液常在細菌叢の変化を調査し, 血液免疫学的マーカーも併せて測定し検討を加えた。腎機能の低下に伴いMicrococcus属, H. parainfluenzae, Bacillus属が減少した。特にH. parainfluenzaeの検出率は著明に低下した。透析患者ではCandida属, CNS属, Acinetobacter属, E.coliが増加および新たに検出された。さらに長期透析患者では, 短期透析患者に比べてMicrococcus属の減少とCandida属の増加が見られた。免疫学的マーカーは腎機能の低下に伴い補体系の低下が見られた。また各腎疾患状態において, H. parainfluenzaeの有無による血清IgA値の相違は認められなかった。今回, 糸球体腎疾患の進行に伴い唾液細菌叢の変化が認められた。特にH. parainfluenzaeは慢性糸球体腎炎の段階で多く見られ, 糸球体腎炎の病因との関連を疑わせる所見と思われた。
  • 小野 満也, 藤原 英明, 川尻 宏昭, 西垣 良夫
    1999 年 48 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県厚生連健康管理センターによる1995年度の集団健康スクリーニング受診者89,837人中, LDH上昇例は1,358例 (1.5%) であった。医療機関からの返書235例 (1,358例中17.3%) 中, 異常なしは141例 (60.0%), 高LDH血症56例 (23.8%), 肝・胆道系疾患が27例 (11.5%) にみられた。LDH上昇例のタイプ別では, 単年度上昇群および正常範囲内上昇群で異常なしと診断された例が多かった。医療機関で行われた検査は, 血液検査が165例 (207例中79.7%), 腹部超音波検査は39例 (18.8%) であった。血液検査例では異常なし, 高LDH血症が多く, 腹部超音波検査例では, 肝疾患・胆道系が多かった。集団健康スクリーニングのLDH上昇例は肝・胆道系疾患の頻度が比較的高く, 腹部超音波検査や肝炎ウイルス検査が必要である。
  • 島 健二, 倉持 元
    1999 年 48 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前腕部に内シャントをもちかつシャント合併症を有しない慢性血液透析患者において, 血液透析療法がシャント肢血流動態に及ぼす影響を検討した。血液透析療法施行前後でドップラー血流量計を用いてシャント血流量および血流速を測定し, さらにシャント肢各指尖での酸素飽和度および脈波高の変化を検討した。-血液透析療法施行前後で平均2.5kg (0.8~4.1kg) の体重の減少が認められた。心血管系に対する影響としては, 透析後は透析前に比べ有意に平均血圧は低下 (99±4vs.80±5mmHg) し, 心拍数 (68±2vs.78±3bpm) およびヘマトクリット値 (35±1vs.38±1%) は増加した。しかしながらシャント血流量, 血流速およびシャント肢各指尖での平均酸素飽和度には変化は認められなかった。また脈波高は透析療法施行後低下する傾向がみられた。またドライ体重に対する体重の変化率の増加 (除水量の増加) は, 透析療法施行前の平均シャント血流量および血流速に対する血液透析療法施行前後でのそれぞれの減少率を増加させる傾向がみられ, 除水量が増加するほどシャント血流量および血流速は低下する傾向が示唆された。しかし今回行った通常の血液透析療法の条件の範囲で生じた体液量, 血圧, 心拍数および血液粘稠度の変化は, シャント肢における局所的血流動態には大きな影響を及ぼさないと思われた。
  • 鶴嶋 英夫, 亀崎 高夫, 長友 康
    1999 年 48 巻 2 号 p. 149-151
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    症例は17歳男性, 頭痛を主訴に来院, 脳血管造影にて左中大脳動脈に動脈瘤 (破裂によるくも膜下出血) が発見された。クリッピング術が施行された。術後の脳血管造影にて脳血管攣縮が認められ, 塩酸パパベリンの動脈注射療法が行われた。これにより血管攣縮は消失し, 病態は回復に向かった。若年者のくも膜下出血は比較的稀な疾患であり, 若干の文献的考察を行った。
  • 和田 範文, 安田 洋, 新井 正, 伊東 祐二, 早川 和良, 高屋 忠丈, 西岡 幸絵, 谷口 小記子, 辻本 真紀, 岩越 優, 森井 ...
    1999 年 48 巻 2 号 p. 152-155
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    家庭用の携帯型デジタル自動血圧計を用いて, 運動療法施行中の片麻痺患者の血圧変動を測定した。
    理学療法士が通常施行している訓練プログラムにおいて運動中の血圧値は安静時に比べ, ほとんどの例で収縮期血圧, 拡張期血圧ともに上昇した。なかにはリスク管理上注意を要するほどの上昇が認められる例もあった。
    血圧値の変動には多くの要因が関与するため一概には言えないものの, 家庭用の携帯型デジタル自動血圧計によりどの程度の運動でどれくらい血圧が変動するかを知ることは容易にでき, 患者や家族に血圧の変動に対する認識を高めることは可能と考えられた。これにより, 在宅における運動の際の身体活動量の指標が得られる可能性があると思われた。
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