抄録
成人の中枢神経疾患患者の社会的技能を簡便に評価する方法として,社会成熟度検査は有用である.この検査によって従来指摘されていた中枢神経疾患患者の社会的技能,すなわち対人行動技能の低下を具体的に示すことができた.こうした患者では,身体運動のみならず心理的・社会的行動にも退行している様子がうかがわれる.末梢神経・骨関節疾患患者や一部の中枢神経疾患患者では,運動技能低下にも拘らず社会的技能やADL技能を維持しうることが実際に示された.因子分析の結果も,対人行動技能は運動技能やADL技能を前提としないことを示した.