リハビリテーション医学
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半側空間無視を呈した脳出血患者の検討
前島 伸一郎土肥 信之中井 國雄舩橋 利理板倉 徹駒井 則彦
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1994 年 31 巻 6 号 p. 391-397

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抄録
高血圧性脳出血(被殼21,視床17)による右半球損傷で半側空間無視の有無による病巣や随伴症状,ADL到達レベルの違いについて検討を行った.半側空間無視を呈した者は38例中27例であった.これらの患者は持続的な半側空間無視,一過性の半側空間無視,半側空間無視を呈さない者,の3つに分けることができた.被殼出血では半側空間無視の有無は血腫量に左右された.血腫量が40mlを超えた7例中4例は残存し,他の3例は一過性の半側空間無視を呈したが,これらは50歳未満であった.被殻出血が20ml以下では半側空間無視はみられなかった.視床出血では半側空間無視の出現と血腫量との関係はなく,いずれも一過性であった.半側空間無視を呈した者は重度の運動麻痺や感覚障害を呈し,精神機能評価尺度で有意な低下を認めた.初回評価で半側空間無視を呈した者は,退院時ADLが明らかに低下していた.
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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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