抄録
歩行練習は,運動学習の主要7変数に配慮し,2つのパラドックスを乗り越えるデザイン上の工夫を要する.装具を用いた片麻痺歩行練習は,長・短下肢装具それぞれに短所があるため,ロボットを用いたより精緻な練習法が求められていた.著者らが開発中の歩行練習支援ロボット(Gait exercise assist robot:GEAR)は,低床/低速度対応トレッドミル,長下肢型ロボット,安全懸架,ロボット免荷,前面モニタ,治療者用操作パネル兼モニタからなり,歩行周期に合わせ膝伸展/屈曲を補助することで,早期から過剰な代償動作なしに最終歩容類似の多数歩歩行を可能にした.予備的検討では,装具歩行練習群に比較して効率的な歩行能力改善が図れると思われ,実用化が期待されている.