2016 年 53 巻 10 号 p. 770-773
腰椎のキネマティクスは胸椎とは異なり,胸郭,肋骨による支持がないために大きな運動性と可動域を有する.また腰部脊柱管狭窄症・腰椎変性すべり症・腰椎変性側弯症などの変性疾患や腰椎圧迫骨折・腰椎破裂骨折などの外傷の好発部位となる.その理由としては,上位脊柱からの荷重や運動負荷が腰椎に集中するからであると考えられている.こういった疾患を治療するうえで,腰椎の解剖とキネマティクスへの理解は大変重要である.本稿では腰椎の解剖と疾患との関係性,キネマティクス研究の歴史について述べる.