2016 年 53 巻 5 号 p. 370-373
『発達障害者支援法』においては,高次脳機能障害は発達障害の中に含まれているが,高次脳機能障害診断基準から発達障害は除外されている,という紛らわしい実情がある.医学的には,生まれつきの高次脳機能の問題を発達障害と呼び,後天性脳損傷による高次脳機能の問題を高次脳機能障害と呼ぶことに異論はないであろう.近年は発達障害の概念も,知的障害から独立した高次脳機能障害へシフトしている.発達障害児やその家族には「病前のイメージ」というものが存在しない一方で,高次脳機能障害児の場合,本来あるべき機能への復活や回復に固執してしまいがちになる.つまり,ハビリテーションとリハビリテーションの違いがそこには存在している.