2018 年 55 巻 5 号 p. 384-387
幻肢痛の発症には,脳における感覚運動野の不適応が関与している.幻肢痛を訴える症例の多くで幻肢は動かせない状態で認識されることが多く,こうした感覚と運動の不一致が痛みとして認識されると考えられる.治療に関して確立した方法はないのが現状だが,ガバペンチンなどいくつかの薬剤での臨床試験が行われている.鏡療法は鏡に映った健側の四肢を切断肢と錯覚する現象を用いて,切断肢の感覚-運動ループを整えることで治療効果を発揮する.幻肢痛は長期にわたって患者の生活の質を低下させるものであることを認識し,治療法を選択することが必要である.