リハビリテーション医療の過程では,活動量の増大と安全は常にトレードオフの関係にあり,いかに転倒を予防しながら患者の活動性を高めるかは重要な課題である.医療機関において,双方のバランスを保ちながら患者を支援していくうえでは,センサーやアセスメントツールを用いて未然に転倒や外傷を防ぐ「ブレーキ」の視点と,患者個人に起因する内因性リスクを調整しながら病棟単位で積極的に活動を促していく「アクセル」の視点が求められる.一方で,従来の医療安全対策の効果に関するエビデンスは少なく,機会費用を見直す必要があることも指摘されている.今後は,最新の科学技術を導入することで,より効率的な転倒予防の実現が期待される.