2021 年 58 巻 9 号 p. 1044-1050
嚥下造影検査は嚥下内視鏡検査とともに,摂食嚥下機能評価のゴールドスタンダードとして広く普及している.外からはみることのできない,咽頭・喉頭の諸器官の動きや食塊の動きを観察することができ,誤嚥や咽頭残留といった異常所見の要因を判別することができる.検査で異常を発見したら,同一検査内で有効な代償手段を確認しておくことがその後の訓練立案に必要である.嚥下造影検査は口腔から食道まで広い範囲を観察できる利点があるが,放射線被曝を最小限にするよう配慮が必要となる.ベッドサイドでの臨床評価や食事観察から問題点を挙げ,何をみるべきかを明らかにして検査に臨むことが大切である.