The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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特集『モチベーション&アドヒアランスの向上』
リハビリテーション治療におけるモチベーション&アドヒアランス向上のために(総論)
先崎 章
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2022 年 59 巻 3 号 p. 252-259

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抄録

よいリハビリテーション治療が行われるためには,患者・利用者がリハビリテーション治療に参加し継続するモチベーションを高めることが必要である.本稿では,モチベーションとアドヒアランスの関係について述べ,モチベーションやその向上について,生物的(脳機能)レベル,心理的レベル,(当事者にとっての)環境的レベルの3つの視点から言及した.

生物的(脳機能)レベルでは脳損傷や機能不全に由来するアパシーへの対応が求められる.Long COVIDに伴うbrain fogへの反復性経頭蓋磁気刺激療法は,リハビリテーション治療の1つの方向性を示すものである.心理的レベルでは,「治療の入口にある傾聴,そして意思決定支援」「障害とともにあっての自己実現を高めるために」「自己効力感を高めリハビリテーション治療に参加させるためには」の3つの論点について述べた.環境的レベルでは,精神障害リハビリテーションの基本原則である,①包括的アプローチ,②個別化,③当事者参加と自己決定の尊重,④主体的回復の視点と「希望」が,身体リハビリテーション医療にも当てはまると考え,紹介した.

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© 2022 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会

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