摂食嚥下練習において嚥下手技,姿勢調整は,効率よく目標課題をめざすために不可欠な課題の難易度調整における重要な変数である.双方とも古くから臨床的に用いられているが,運動学的意味や効果のエビデンスは十分とはいえない.昨今,高解像度マノメトリーや嚥下CTの登場により運動解析が進み,主たる効果の理解が進んでいる.メンデルソン手技,努力嚥下では咽頭収縮に対する効果が明確となり咽頭クリアランスに有効な手技であることが示されてきている.姿勢調整では,頭部回旋は梨状窩の形態変化およびUES圧低下による咽頭クリアランスの効果,リクライニング位は重力に対する諸器官の運動調整による気道防御の効果が明らかとなっている.