2023 年 60 巻 6 号 p. 511-517
脳炎における後遺症として,特に高次脳機能障害は就労復帰,就労継続における大きな阻害因子となる.現在,高次脳機能障害患者に対する支援事業はさまざまなものが存在し,相談支援コーディネーターが配置されている支援拠点機関が各機関との連絡・調整を行いながら,近年ではリワークを活用して就労復帰を果たすようになってきている.一方,脳血管障害,指定難病など一部の疾患では「仕事と治療の両立支援」といった取り組みがあり,就労復帰・両立支援サポートを行った際に指導料が算定される.脳炎はまだ対象ではないが,医療・社会復帰支援が長期的に必要であることから,今後脳炎においても両立支援が対象となることが期待される.