抄録
腎移植患者における腎臓リハビリテーションは腎移植後のフレイル・サルコペニア予防を介し
て,運動耐容能の維持・quality of life (QOL)の改善,ひいては長期にわたる移植腎機能保持・
生活習慣病の予防を介した心臓血管病予防・社会復帰を目的とする。腎移植の身体活動,社会活
動における優位性より,腎代替療法を要する末期腎不全患者にとっては,腎移植医療そのものが
究極の腎臓リハビリテーションであるといえる。
腎移植後レシピエントにおけるリハビリテーションは,周術期の筋力を落とさないリハビリ
テーションと維持期の筋力を維持するリハビリテーションに大別される。前者は理学療法士のガ
イド下にて,後者は移植コーディネーターを含む多職種連携による非ガイド下にて実施されるこ
とが多い。今後は腎移植後レシピエントにおける腎臓リハビリテーションの標準化と,エビデン
ス創出のための研究実施が望まれる。