日本腎臓リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8253
Print ISSN : 2436-8180
慢性腎不全における骨粗鬆症:診断と治療の進歩
小岩 文彦 大宮 信哉河嶋 英里
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2024 年 3 巻 1 号 p. 42-52

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抄録
腎不全の進行に伴って増加する骨折リスクは維持透析患者では骨密度の低下,尿毒症や副甲 状腺機能亢進症の合併により一般人口の5 ~ 6 倍と高い。近年では慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に関連する骨・ミネラル代謝異常(mineral & bone disorder:MBD)に骨粗鬆 症を併せ持った病態としてCKD-MBD/ 骨粗鬆症ともよばれる。骨粗鬆症の評価は二重エネル ギーX 線吸収(dual-energy X-ray absorptiometry:DXA)法による骨密度測定,骨代謝マー カーによる骨代謝状態の把握が重要である。治療は生活習慣の見直しや運動などの非薬物療法と 薬物療法がある。透析患者を対象とした薬剤は開発されていないため,骨密度の上昇によって 骨折リスクを低下させる骨粗鬆症治療薬を用いる。大きく骨吸収抑制薬と骨形成促進薬に大別 され,閉経後骨粗鬆症に有効なビスホスホネートは,長期の骨組織への蓄積から透析患者では禁 忌,あるいは慎重投与に指定されている。骨吸収の亢進を認める場合はデノスマブが有効である が,低カルシウム(Ca)血症に注意が必要である。骨形成促進薬であるロモソズマブは骨吸収 抑制効果も併せもち,透析患者での有効性や安全性が徐々に報告されている。
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© 2024 一般社団法人日本腎臓リハビリテーション学会
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